おサルさん みいつけた!

霊長目ヒト科ヒト属ヒトの行動を観察する日記です

大阪都構想の住民投票がもたらしたもの…サルは二者択一しかできません

 大阪都構想住民投票で否決されましたね。
 普通に考えたら大阪市を5つの特別区に分割したくらいで行政が効率化されるとは思えないので大阪市民は適切な判断をしたと言えると思います。ただ、橋下さんには大阪市を解体する過程で既得権益をいくつか壊してくれることを期待していたのでそれが見られなくなったのはちょっと残念な気もします。

橋下さんはなぜ二者択一を迫ったか

 今回の住民投票は日本の政治史上最大規模の住民投票だったわけですが、これは小泉さんが日本に導入した劇場型政治を橋下さん風に発展させたものだと思っています。大阪都構想の是非を決めるという重要な演劇を住民投票という形で市民自身に演じてもらうという観客参加の劇場型政治です。そして橋下さんは劇場型政治で最も重要なポイントも抑えていました。それはイエスかノーかの二者択一にすることです。大阪都構想に賛成か反対かというだけではありません。橋下にイエスかノーかの判断も市民に迫ったのです。本来は2つの事項のイエス/ノーなので2×2=4通りの組み合わせがあります。大阪都構想には反対だが、橋下さんには市長を続けて欲しいという選択肢もあるはずです。しかしそれを排除し二者択一としました。

 なぜそうしなければならないかというと、おサルさんは難しいことを考えることができず、二者択一の問題くらいしか考えられないからなのです。イエスかノーかをはっきりさせるというのは元々米国のおサルさんに強く見られた傾向です。日本にはそのあたりをうまくぼかしながら調整していくという懐の深さがあったはずです。しかし戦後米国と長く付き合う過程で日本のおサルさんも二者択一の選択しかできなくなってきているようです。
 今回の住民投票の結果で70代以上の年齢層で大阪都構想への反対が多く、大阪の未来を決めるのに若者の希望を年寄りが潰したとの見方をする方もいるようです。イエスかノーの二者択一しか選べない浅はかさを年寄りが諌めているのだと謙虚に考えたほうが良いのではないでしょうか?

日本は直接民主制への一歩を踏み出したか?

 今回の住民投票を経験したことで政策の是非を自らの投票で決めるという直接民主制のすばらしさを体感できたのではないかと思います。そもそも今の日本で行われている間接民主制というのは国民全員が一箇所に集まることが物理的制約、時間的制約、経済的制約等でできなために議員を代理として選んでいるものです。
 選挙が民主主義の本質だと思っているおサルさんが時々いますが大きな間違いです。国民全員で決めるのが本来の民主主義のあり方で、選挙で議員を選ぶのはあくまでのその代替としてやっているだけです。直接民主制はインターネットの普及によって物理的、時間的、経済的な制約のハードルが低くなりつつあります。近い将来は国会中継をTVの前で見ながら政府の予算案をリモコンで採決するということになるかもしれませんね。

 直接民主制が実現してもおサルさんが二者択一以外のちょっと難しい問題を考えることができるようになるかという課題は残ります。今の制度から直接民主制に移行するのはすぐには難しいと思うので過渡的な制度が必要になります。

 私は株主総会における委任状のような形で国民が代理人に委任する方式を想定しています。今の国会は議員全員の一票を等価として議決が行われます。これを代理人が集めた委任状の数だけの重みを持たせるようにすればより国民の意思を反映する議決が国会で行われるようになると思われます。委任状を管理するシステムを構築し、リアルタイムに委任先を変更できるようになれば最新の課題にも国民の意思を反映することが可能です。

 大塚家具の株主総会での委任状争奪戦を思い出していただければ、どのような国会になるかがイメージしていただけると思います。

今日のおサルさんへの提言

  • 二者択一以外のちょっと難しい問題も考えることができるようになりましょう。
  • 選挙制度は直接民主制の代替手段でしかないことを理解しましょう。

 

 


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はじめに

 人間って普段自分で思っている以上にサルですよね?

 人類のことを学問的には Homo sapiens(ホモ・サピエンス)と呼び、これは「知恵のある人」という意味だそうですが、やることなすこと浅知恵すぎることばかり。(これは他の人に向けた非難の言葉ではなくて自らに対する戒めの言葉でもあります。)

 一番問題なのはサルとさほど変わらないことをやっているにもかかわらず、そのことに気づかず人間としての虚像のイメージにがんじがらめになって尊大な行動を取ってしまうことではないかと考えています。

 「もっとサルらしく生きれば幸せになれるのに!」と思うこともある反面、「これだからサルってやつは・・・。自分が人間って言うのならもっと人間らしくちゃんと考えろよ!」と思うこともしばしばです。

 このブログは私が人類の社会生活の中で見つけたサル的な行動について書いていきたいと思います。


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